『大手拓次詩集 上巻』
編者: 池谷竜
装画及挿画: 多賀新

発売日:2023年4月18日
定価:各2,600円 (税別)
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 本詩集は明治後期から昭和初期にかけて活動していた詩人、大手拓次の詩をまとめたものである。上巻に詩集『藍色の蟇』の拓次による自選版を収め、下巻には『藍色の蟇』未収録のものから撰定す。

 昭和11年12月30日、薔薇を詠う詩人の帰泉より3年ほど経て逸見享編纂及び装幀による大手拓次詩集『藍色の蟇』が北原鐵雄(北原白秋の弟)創立の出版社アルスより刊行。総革装天金のA5変形判、3圓80銭也。詩集は13の章と散文詩にて構成、計255篇収録。拓次の肖像写真一葉、逸見描く拓次の死顔一葉。序を白秋が識し、萩原朔太郎が跋を寄せる。
 白秋は大正15年6月14日付の拓次宛書簡にて拓次の詩集出版に関する企画を発案、同年9月11日付で拓次は10章からなる186篇の詩稿を白秋に送達するも拓次生前に詩集刊行は叶わず、暗礁にて水泡に帰す。この詩稿を基にアルス刊『藍色の蟇』は構成されており、編者の逸見によって69篇の詩が追加、配列や章題変更等が施されるも装幀含め好適な編集といえよう(中略)

 本詩集上巻は前述の大正15年9月に白秋へと託された詩稿の186篇の内、拓次により×印が付された自信の薄い23篇を削除し、構想においても拓次本人による配列及び章題を忠実に再現した自選版『藍色の蟇』である。然りとて拓次には精到な全集もあれば昭和58年に復刻されたアルス版『藍色の蟇』もあり、詮ずるに本詩集刊行に際して編者たる大義はなく、小生が唯々恋慕渇仰する詩人である故、此度の上梓を諒とせられたい。
 

以上、『大手拓次詩集 上巻』の「編者解題」より抜粋
 

2023.4.1 Ryo Iketani