『北村初雄詩集 上巻・下巻』
編者: 池谷竜
装画: ケーテ・コルヴィッツ
上巻発売日:2022年10月12日
下巻発売日:同年12月2日
定価:各1,600円 (税別)
全国の書店およびAmazonにて予約受付中。
本詩集は大正期に活動していた海港詩派の詩人、北村初雄の詩及び小説、評論等をまとめたものである。上巻に大正12年刊行の遺稿詩集『樹』を収め、下巻は刊行詩集未収録のものから撰定す。
明治30年2月13日、北村初雄は東京市麴町區飯田町(現千代田区飯田橋)に父七郞、母弘子の長男として出生。幼年期に父転任の為、横浜へ転居。旧制中学在学の大正4年頃から文芸誌『文章世界』等へ投稿し、その頃より三木露風に師事。露風主宰の詩誌『未來(第3次)』、『詩王』や『白孔雀』等に同人として参画。刊行詩集に『吾歲と春』(大正6年・未來社)、『正午の果實』(大正9年に家蔵版、同11年に稻門堂書店より再版)があり、柳澤健と熊田精華との合著詩集『海港』(大正7年・文武堂書店)がある。
大正11年4月に奈良遍歴から戻った初雄は病を患い、床に臥す。同年6月半ばに医師より籐椅子に座る事が許され、翌月に横浜から東京府荏原郡入新井町木原山(大森山王、所謂馬込文士村)へと転居し、詩集『家』制作に着手。11月に療養の為、相州鵠沼(現神奈川県藤沢市南部)の文士宿東屋へと移るも甲斐なく大正11年12月2日、北村初雄は病没す。享年26歳。
長逝により途絶した北村初雄の第3詩集『家』は詩友の柳澤と熊田、日夏耿之介の監修のもと、大正12年2月頃に家蔵限定版の遺稿詩集『樹』として200部発行。序は初雄の父七郞、跋を熊田が識す。本詩集上巻はこの遺稿詩集を収録、跋及び後記は割愛。又、下巻には第1詩集『吾歲と春』や第2詩集『正午の果實』に未収録の詩並びに小説、評論や訳詩等を収める。
以上、『北村初雄詩集 上巻』の「編者解題」より抜粋
2022.9.23 Ryo Iketani