詩画集 『不死者の不幸』
著者: ポール・エリュアール (Paul Éluard)
訳者: 池谷竜

発売日:2020月11月18日
定価:1,300円 (税別)
全国の書店およびAmazonにて予約受付中。

 
 

 本詩画集『不死者の不幸(Les Malheurs Des Immortels)』は画家マックス・エルンストのコラージュ画に詩人ポール・エリュアールが散文詩を添えた共作で、1922年7月にパリのEditions de la librairie Six(シス書房 / 詩人フィリップ・スーポーの妻ミックによる経営)から少部数にて刊行(発行部数は不明)され、彼らの仲間内に配られた詩画集である。厳密に言えばエリュアールの著作ではなく彼の詩にエルンストが加筆修正し、又エルンストの詩に彼が手を加えてゆくというやり取りを郵便で幾度となく繰り返して仕上げられていった共著である。

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 この《エリュアールとエルンストからの啓示》と題辞に掲げられた『不死者の不幸』は1922年というダダからシュルレアリスムへと移行する過渡期に懐胎された書である。それは偶然であり必然であろう。なぜなら1919年にはアンドレ・ブルトン(André Breton)とフィリップ・スーポー(Philippe Soupault)の自動記述による共著『磁場(Les Champs magnétiques)』が既にあり、来たる1924年10月15日に刊行されるブルトン著『シュルレアリスム宣言・溶ける魚(Manifeste du surréalisme / Poisson soluble)』がある(エリュアールは半年ほど失踪しており、仲間内では死んだと噂されていたが刊行前月の9月末に帰還したので、校正刷り段階のその宣言書に彼の名が急遽加筆された)。
 確かに『不死者の不幸』は自動記述の詩法を用いてはいるが、いわゆる自動記述の詩ともまた似て非なり。あらかじめ何を書くかを考えずに筆を走らせる自動記述が無意識や夢のごとき詩であるなら、この『不死者の不幸』の詩の前には絶えず先導するエルンストのコラージュ画があり、いわば既存のイメージを言語化した絵巻物なのである。言い辛いが自動記述のテクストはときに読み手を退屈させる、それは昨日みた夢の話を延々と聞かされるあの退屈さであろう。だが本詩画集には自動記述的な詩に対置するコラージュ画があり、そのコラージュ画と共鳴する詩がある。この詩と画とを行き来する道程が読み手の創造性を掻き立てもし、補うのではあるまいか。
 

以上、詩画集『不死者の不幸』の「訳者解題」より抜粋
 
 

2020.10.28 Ryo Iketani

 
 

 
 
 
 
 
 


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