『吉田眞之助全集 上巻』
編者: 池谷竜
表紙画: ハインリッヒ・フォーゲラー
発売日:2021年9月12日
定価:1,300円 (税別)
全国の書店およびAmazonにて予約受付中。
本全集は吉田眞之助の小説集である。
吉田眞之助の名を知る人はまずおらぬだろう。昭和22年6月15日に小出版社の泰山堂から刊行された吉田眞之助著『女精』があるのみで、小説が8篇収録。恐らく少部数発行であろう。当時のカストリ雑誌等に掲載がないか隈なく探せど彼の名は見当たらず、現在まで誰にも論じられたこともなければ名が挙がることすらない。彼は一体、何者であろうか。
編者は偶然手にしたこの無名作家の小説に魅せられた。否、彼の小説に描かれる女性に魅せられたと言っても良い。しかもこの作家の描く女性や随所に鏤(ちりば)められた惚(とぼ)けた上等なユーモアに見覚えがある。作風こそ違えど、ある小説家の別名義だと編者は推測しているが、まずは先入主なく彼の珠玉の小説をご賞翫頂きたく、その憶説をここではなく下巻解題で述べることを諒とせられたい。
以上、『吉田眞之助全集 上巻』の「編者解題」より抜粋
2021.9.1 Ryo Iketani