― 華やかな殺生を愛する手 ゆめ幻を噴く手 
 淫樂に匂ふ手 あゝ美しき罪人の手 -
(わが手の一節より)
 
詩:井口 蕉花
 

纎細き蛾のごとき手よ
靑傷の光に泣ける手よ
十字架の靑き芽を潤した手よ
盲へる黝き月を指した手よ
夜ごと密房に鍵卸せし手よ
鷄小屋に擾げる蛇を捕へし手よ
妻の懷妊を啄きし手よ
物乞ひの犬の脊を撫でし手よ
喰へぬ木の實を投げし手よ
艶めいて酒盃を煽る手よ
實にこれらすべてわが奇怪な片手なり


 

以上、『井口蕉花全集』より
 
 

2021.11.21 Ryo Iketani






カテゴリー: 井口蕉花