大正12年10月に靑騎士叢書の第1編として佐藤一英の第2詩集『故園の萊』刊行、発行者が著者本人で発行所は靑騎士編輯所である。佐藤一英の第1詩集では佐藤春夫が序を寄せていたが、第2詩集は序も跋もなく装幀も至って簡素、その控え目さが良い。アール・ヌーヴォー調の装画は『青騎士』第12号から第14号の表紙と同じだが作者不詳、19世紀英国の画家ウォルター・クレイン風の単色装飾画である。編者蔵『故園の萊』は岩間芳雪宛の著者献呈本で彼らの詩的交流を示す。岩間芳雪(純)編集による大正15年7月創刊の岐阜の同人詩誌『詩魔』には佐藤一英、春山行夫や高木斐瑳雄、竹中久七や杉浦杜夫(盛雄)らが寄稿している。
 

靑騎士叢書 第1編
 
 

 叢書第2編として大正13年2月に高木斐瑳雄の第2詩集『昧爽の花』が200部刊行、序は春山で跋を陶山篤太郎、発行者が井口三郎(蕉花)である。装幀は水野義正が担い、布装表紙に金箔押しされた1本の剣が靑騎士叢書を荘厳に象徴する。この第2編の出来がすこぶる良いだけに第3編の蕉花詩集『墜ちたる天人』の未刊が惜しまれる。しかも近刊広告には著者装幀とある。編者蔵『昧爽の花』見返し頁に《大正十四年十月二十四日/白井一二に贈せらる》とあり、白井一二(麦生)は大正12年9月創刊の同人詩誌『自画像』編集等を務めているが高木との関係不詳。
 井口蕉花が発行者を果たす叢書第2編刊行の2ヶ月後、彼は冥土への旅人となる。編集兼発行人の召天により詩誌『靑騎士』廃刊、靑騎士叢書も途絶す。不帰の客人の為に剣を地に突き立てよ、十字切る墓標のごとく。
 

靑騎士叢書 第2編
 
 
 

以上、『井口蕉花全集』の「編者解題」より抜粋
 
 

2021.11.19 Ryo Iketani






 

カテゴリー: 井口蕉花詩論